フランス語学留学2019-2020

フランス語学留学の記録

【仏留学中止】移動制限措置発動中の帰国④〜リヨン・サン=テグジュペリ空港〜

「こんなに静かなサン=テグジュペリ空港は初めてだわ」

私を送ってくれたタクシーの運転手さんが着いた瞬間に思わずこう口にするほど、外出禁止令下のリヨン・サン=テグジュペリ空港は閑散としていました。どこをどう歩いても他人と1mの距離は容易に取れるくらいガランとしています。早朝でも深夜でもなく、出発にはちょうど良い時間帯なのに。

 

電光掲示板をざっと見ただけでも半分近くの便が欠航になっていました。仏国内はナント、トゥールーズストラスブール、ニース、ポワティエ、リモージュ、ポー行きが欠航。国外はミュンヘンデュッセルドルフアムステルダム、ジェルバ島(チュニジア)、チュニスがその対象となっていました(午前中の電光掲示板調べ)。

f:id:suitefrancaise:20200329230928j:plain

 

たった2カ所しか開いていない荷物預かりカウンターには、それでも人が並ぶことはなく、搭乗待ちの乗客は待合スペースにも20人もいなかったように思います。国籍に限らずほとんどの人がマスクを着用していました。語学学校で先生が「マスクはアジアの文化よね」と言ったのはつい最近のことなのに。

 

f:id:suitefrancaise:20200329230754j:plain

 

「マダム!それ以上近づかないでください。1m離れなければいけない決まりですから」

スーツケースをベルトコンベアーに載せようと一歩前に足を踏み出そうとした私を、担当の女性が笑顔できっぱりと遠ざけました。「 Bonjour! 」と気持ちよく迎えてくれた時と同じ声色と、機械で測定しているような"1m間隔"への正確さから、まるでAIに接客されているような気分になりました。搭乗前に並ぶ場所には床に1m間隔でテープが貼ってあり、どこであっても他人に触れることがないよう徹底した対策が取られていました。

 

f:id:suitefrancaise:20200329230517j:plain

コンビニのようなRelayというお店には明かりが点いていましたが、スターバックスロクシタン、免税店などの飛行機を飛ばすことに関係のない設備は全て、いつまで続くかわからない臨時休業に入っていました。

 

f:id:suitefrancaise:20200329230723j:plain

旅をする人々が持つ特有の高揚感や疲労感が混ざり合った熱気が全くない空港は、ただの待合室のようでした。今までのフランス旅行では、いつだって「空港」で旅の始まりと終わりを感じてきたのに、それを全く感じない。必要不可欠なもの以外は存在しない空間が持つ、彩りのなさの寂しさを最後の最後まで感じることになりました。