中級以降のフランス語の勉強方法
フランス語を語学学校に通わず勉強する中で一番困ったのは「上級者向けの教材が書店の棚にほとんどない」ことです。
たとえあったとしても、音声が付いていなかったり、CDタイプで面倒だったり……
そんな私が、中級の市販の参考書を一通り終え、仏検準2級を取得後に始めた勉強方法について書きたいと思います。
ある一人の先生との出会いが、これまでの勉強方法を大きく変え、フランス語学習をさらに豊かにしてくれました。
NHKラジオ講座(応用編)を活用する
「NHKのラジオ講座がおすすめです!って何度も言ったのに、どうしてすぐ始めなかったんですか?」
と、ぐずぐずしていた私に対して、先生が軽く非難するように言ってきたのには、相応の理由があります。
NHKラジオ語学は、1回たったの15分ですがそこに濃い内容が詰め込まれているためテンポよく進み、ネイティブの音声が聴けて、時代に合った自然な言い回しが学べます(ラジオならではの強みですね)。
ラジオの音声だけなら無料ですし、たとえテキストを購入したとしても500円で収まるので、予算面で胸も痛みません。
入会費も年会費もいらないし、肌に合わなければいつ中止してもいいのです(自分に合わない勉強法は身になりにくい)。
フランス語の場合、テキストは初級編と応用編が1冊にまとまっていて、月1回発行です。
初級編が週3回、応用編が週2回。
もちろんラジオ放送で聴くこともできますが、おすすめは一週間遅れでNHK語学のサイトで配信されるストリーミング配信。
自分の好きな時間に聴けますし、音声を好きなタイミングで止めたり、聴き取れなかった箇所を何回も聴き直せます。
3ヵ月毎に変わる講師の先生によって学習形式は異なりますが、二人の人物による会話文形式でちょっとしたお話が進んでいくことが多いです。
なによりもいいのは、「参考書にはなさそうだけど、こんな風に言いたいことあるよね。」という言い回しが多く出てくること。
会話が現実に存在しそうな自然な感じなんですね。
「富士山の5合目って何なの、あすみ?」とか「日本のトイレってボタンが沢山あるのね! これはどう使うの?」とか。
そうした「あ、こんな会話しそうだよね〜」という設定の下で、登場人物たちが結構深く話し合うので、会話学習で最も達成したい“込み入ったやりとり”をしていくための下地ができる気がします。
フランスのメディアに触れてみる
日本にいながら無料で触れられるコンテンツ、沢山あります。
私は、euronews、France Inter 、francetve・éducationを普段よく使います。
上記3つのコンテンツの良いところは、音声とそれを文字起こししたテキストが一緒になって提供されていること(※両方揃っているかどうかは記事によります)。
ネイティブの声で読まれたものをテキストでも確認できるかどうかは、とりわけ上級者でない場合には重要なポイントかと思います(あの早い口調を聴き取るのは至難の技)。
私は、まずは耳を鍛えるために音声だけを聴いて、まあ大抵はうまく聴き取れないので、悔しい気持ちと共にテキストを見てしっかりと読解します。最後に2、3回音声を聴いて、音読もして終了です。
慣れてきたら、流れる音声を聴こえる端からノートに書いていく“ディクテ”がおすすめです。
ブツ切れでも構いませんし、たとえ一語でもいいので、聴こえた音を書いてみる。
ディクテは、私の周りのフランス語学習者さんもおすすめする人が多いです。
耳が拾った音をどれだけ再現できるかチャレンジ(?)は、早口の人に当たると嫌になっちゃいますが、神経がフランス語に収斂していく気がするのでお勧めです(集中力も鍛えられる)。
テストのない環境に身を置いてみる
モチベーションを保つのに仏検やDELF、DALFの合格を目指すのはもちろんありですが、「テスト」という枠の中にあなたがもしずっといるのなら、一度離れてみてもいいかもしれません。
私は3年前まで仏検合格を目標にして、ひたすら過去問を解いたり、仏検用の単語集で語彙を増やそうとしていました。
5級から準2級まで一段階ずつ受けましたが、適度にレベルが上がっていくので、仏検はモチベーションを保たせてくれるいい存在でした。
レベルが初中級のうちは内容を楽しむよりもむしろフランス語に立ち向かっていくのが精一杯なので、平易な文章で勉強するのがいいかもしれません。
が、そこから「ちょっと全体的に飽きてきたな」と思ったら(つまり必死状態を抜け出したら)、上記で紹介したフランス発のコンテンツを取り入れてみるのもいいと思います。
私は仏検準2級に受かった時点でこのやり方を始めました。
最初はA3サイズの紙にテキストを印刷して、日本語でメモを大量に書き込んでいました(文字は大きければ大きいほど読みやすいと風の噂で聞き、難しいものをせめて見やすくしたくて)。答えも補助もある参考書とは難易度が大きく違ったのです。
日本でもこんなに沢山のフランス語のコンテンツに触れられることに驚きましたし(アクセス制限かかることはほとんどありません)、時事問題から文化まで、アクセス可能な範囲が広く、良質なものが多いので「活用しない手はない!」と思いました(勉強の合間にはfrancemusiqueがおすすめです♫ジャズもクラシックもあります)。
一番は、「ここにあるものを不自由なく楽しめたらいいな」という新たな目標ができたことが大きかった。
当時、私にはフランス人の友人が一人もいなかったので、この一歩はフランス語学習を実践に移す一歩にもなりました。
学習方法は十人十色であって、正解はないので、自身の進歩に合わせて勉強方法も柔軟に変えていき、目標がいつも輝いているものであるかどうかが大切なことのように感じます。